トミーの時間割を合わせようと思って、ランドセルを開けました。
筆箱が、パンパン。
嫌な予感しかしません。
布製のボックスタイプの筆箱なんですが、今まで見たことがないくらい、異様に膨らんでいます。
「……何が入ってるんですか?」
恐る恐る開けてみる。
出てきたのは――
ダイナマイト。
……にしか見えない、12本の色鉛筆。
色鉛筆が、セロハンテープでぐるぐる巻きにされている。
しかも、ただ巻いてあるだけじゃない。
ものすごく丁寧に、ぐるぐる、ぐるぐる。
ぱっと見では、色鉛筆だとは分からない。
「……なぜ!?」
さらに発掘していくと、
ぐるぐる巻きのコンパス。
ぐるぐる巻きの消しゴム。
ぐるぐる巻きの定規。
1本ずつ、ぐるぐる巻きにされた鉛筆たち。
そして極めつけ。
ぐるぐる巻きにされた今日のお手紙。
いや、もう何なの。
これ。
開いてみるまで、何のプリントなのか分かりません。
ゴミにしか見えない。
でも、迂闊に捨てられない。
ちなみにこのセロハンテープ。
2学期が始まったときに、新しいものを持たせたばかりです。
まだ2週間。
……。
ホント、やめてください。
これ、初めてじゃないですから。
1学期が終わって、トミーがお道具箱を持ち帰ってきたとき。
中のものが、大変なことになっていた。
いろんなものが、ボンドで固められていた。
消しゴムは、いくつもボンドでコーティングされている。
鉛筆は両端が削られていて、削ったところをボンドでコーティング。
三角定規は、分度器と一緒にボンドで接着。
そして
鉛筆削りの中にもボンド注入。
……何を目指しているんですか。
さらに、マイネームペン事件もありました。
油性のマイネームで、
鉛筆も真っ黒。
消しゴムも真っ黒。
そして当時使っていた箱型の筆箱は……
ピカチュウが真っ黒。
いや、もうピカチュウの存在すら分からない。
定規も真っ黒。
もちろん目盛りなんて見えません。
何センチなのか、何ミリなのか。
あまりにもったいないので、除光液で拭いてみました。
これで復活するかも!と思った私が甘かった。
インクは取れたけれど。
定規の目盛まで全部消えました。
定規としての機能を、完全に失いました。
……。
トミーは、ふでばこが嫌いなんでしょうか。
それとも、授業中に退屈になって、時間つぶしに何かを加工せずにはいられないのでしょうか。
本人に聞いても、よく分かりません。
ただ、私に発見されると、ものすごく気まずそうな顔をして、スーッと逃げていきます。
悪いことをしている自覚はあるらしい。
文房具、どれだけダメにするんですか。
もったいないんですよ。
今回は、テープを剥がせば、まだ何とかなるかもしれない。
ということで、本人に剥がすように言いました。
ところが。
不器用なトミー。
一個も剥がせません。
端っこすら見つけられないんです。
あっちを引っ張り、こっちを引っ張り。
そのうち、うまくいかないことに腹を立て……
まさかの逆ギレ。
筆箱投げて暴れ出す。
いやいやいや。
そして結局、母の仕事。
せっせとセロハンテープを剥がし
ダイナマイトのような色鉛筆を1本ずつ救出。
コンパスを救出。
消しゴムを救出。
定規を救出。
鉛筆を救出。
そして、ぐるぐる巻きのプリントを解体。
予想通り、まぁまぁ大事なお手紙です。
文房具を普通に使ってほしいだけなんです。
それだけでいいんです。
次は一体、何になるんだろう。
……怖い。
お願いだから。
普通に使ってください。
母からの切実なお願いでした。

