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「髪の毛切りに行きたい」その一言が、ミラクルだった

Diaryと書いたアイキャッチ画像 Diary

「髪の毛切りに行きたい」

ここ1週間ほど、毎日のように言われ続けています。

なかなか時間がとれず、今日まで来てしまいました。

今は日曜日の夕方16時過ぎ。

すぐ行けば切ってもらえます。

今日を逃せば、次に連れて行けるのはたぶん1週間後・・・

「よし、行くか」

……なんてことのない散髪の話に聞こえるかもしれません。

でも、発達特性のある子どもにとって、これはミラクルな話なのです。

小さい頃は、散髪が大イベントだった

トミーが小さい頃は、家で髪を切っていました。

でも、とにかく大変。

切った髪の毛がパラパラと落ちてくるのが、ものすごく嫌だったのです。

髪の毛が首や服に落ちる。

それだけで大騒ぎ。

そもそも息子は、砂場とか、粘土とか、ペイントとかが大嫌いでした。

「体に何かがくっつく」ということが、とにかく苦手。

療育でも、砂遊びや粘土は断固拒否。

抱っこされていて砂場に降ろされそうになると、足を持ち上げて必死にしがみつき、絶対に着地しない覚悟を見せてきます。

お誕生日カードに押す手形をとるのも大騒ぎ。

結局、絵の具で手形をとるのではなく、手の周りをペンでなぞって「手形風」にしてもらうのがデフォルトになりました。

そんな息子なので、家での散髪は、それはもう大仕事。

私が頭を押さえる。

パパが髪を切る。

お姉ちゃんたちはタブレットでアニメを見せたり、お話をしたり。

家族総出です。

それでも最初から最後まで大号泣。

結局、押さえつけて、無理やりできるところまで切る。

これが、わが家の散髪でした。

これ、「育児書的には絶対アウト」です

もちろん、分かっています。

泣いて嫌がっている子を押さえつけて髪を切るなんて、親だってしたくありません。

だから、いわゆる「スモールステップ」というやつも、できることは全部試しました。

不安を減らすためにできること

トミーの場合は

  • ハサミやバリカン、ドライヤー、ケープなどを見せたり触らせたり
  • 実際にバリカンの音を聞かせたり、ドライヤーの風をあててみたり
  • 鏡の前で椅子に座ってケープをつけてみる
  • その状態で少し髪をいじってみる

というように、少しずつ経験をステップアップさせてみました。

他にもこんなことに気をつけました。

  • 事前に流れを説明しておく
  • 大好きなおさるのジョージの動画を見せて、気を紛らわせる
  • 大好きなおもちゃを持たせて安心できる工夫をする
  • 急に押さえたり、無理にすすめたりしない
  • 時間をかけない

けれど全滅。

小さなステップは平気なんです。嫌そうにしながらも、短時間なら耐えてくれる。

でも、実際に切られる段階になると大騒ぎです。

しかし、髪は日々伸びていきます。

前髪が目に入ればトミーは顔をこすり続け、ピンやゴムも嫌がって外してしまいます。

寝ている間に切る方法も試しましたが、布団に散乱する細かい毛の掃除や、何日も寝返りに合わせて切り続ける作業は、想像以上に過酷でした。

時間のかけ方が足りなかったのかもしれません。

1年でも2年でもかけて、もっとゆっくり進めればできたのかもしれません。

でも、子どもにとっての最善を尽くそうとすると、親のほうが潰れてしまいそうになります。

「できる範囲でやるしかない」と割り切った結果、結局、家族総出で泣く我が子を押さえつけながら切るしか方法がありませんでした。

ところが、小学校4年生のころ……

そんな散髪事情が変わったのは、小学校4年生のころでした。

自分のカットでは美容室に絶対入らないのに、付き添いでならすんなりついてくるトミー。

お姉ちゃんたちのカットについて美容室に行くようになり、1年以上たったある日。

「ぼくもここで切りたい」

……え?

試しに切ってもらったら、

めちゃくちゃ普通に切られてる。

シャンプーだって、家では大騒ぎなのに、気持ちよさそうに。

なんだかズッコケてしまいます。

今までの苦労はなんだったんだろう。

なんか腹立つ。

いや、嬉しいんです。

ものすごく嬉しい。

でも、なんか腹立つ(笑)。

それ以来、「家じゃないところ」で切りたがる

それからは、1か月くらいして前髪が邪魔になってくると、

「髪の毛切りに行きたい」

と自分から言うようになりました。

そして最近では、

「髪の毛切りに行きたい。家じゃないところ」

と言ってきます。

……なんか腹立つ(笑)。

でも、もちろん嬉しい。

自分から「髪を切りたい」と言えるようになったこと。

そして、自分が安心できる場所をちゃんと分かっていること。

これは本当に大きな変化でした。

今回は素敵なツーブロックに

そして今回も、無事にカット終了。

素敵なツーブロックにしてもらいました。

後頭部にある円形ハゲも、上手に隠してくれています。

本人も大満足。

さすが美容師さん。

……それにしても。

子どもって、本当に分からないものです。

トミーは、なぜヘアカットが嫌だったのか?

トミーの場合は

  • ハサミやバリカン、ドライヤーの音が怖い
  • 耳の近くで音がするのが苦手
  • 頭や首を触られるのが嫌
  • 髪を引っ張られる感覚が苦手
  • ケープを首に巻かれるのが嫌
  • 切った髪の毛が首や顔、服につくのが嫌
  • 長時間じっと座っていることが難しい
  • 次に何をされるのか分からないことが不安
  • 過去の散髪で怖い経験をしている

「髪を切るだけ」に見えても、トミーにとっては、音、触られる感覚、におい、視覚的な刺激など、いろいろな刺激が一度にやってくる時間なのかもしれません。

美容師さんに子どもの特性を伝えて相談する

一応カットする前に、

「音が苦手です」

「首に髪の毛が落ちるのを嫌がります」

「急に触られると嫌がります」

「長時間は難しいです」

など、具体的にお伝えさせていただきました。

美容師さんから、「白いケープだと落ちた髪の毛が目立つから、黒いケープでしましょうか」と提案していただき、カラーリング用の黒ケープでカットしていただきました。

一番大切なのは「その子に合う方法」を探すこと

子どもによって、苦手な刺激も違います。

合う方法も違います。

そして、できるようになるタイミングも違います。

多分トミーにとってのスモールステップは、お姉ちゃん達のカットを何度も見学していたことに集約されるのでしょう。

私はずっと「少しずつ慣れさせる」ということばかり考えていました。

でもトミーに必要だったのは、「やってみる」ことではなく、「見る」ことだったのかもしれません。

少しずつ体験するより、何度も見学を繰り返すことが、トミーにとって一番の正解ステップだったんだと思います。

できないことには、できないなりの理由があります。

今はまだ難しいだけかもしれません。

気持ちを受け止めながら、寄り添い、少しずつできることが増えていってくれたらと思います。

でも受け止めきれないこともあります。

親だってひとりの人間ですから。

駄目だとわかっていることをして、自己嫌悪になることもあります。

でも、焦らず、気長に。

いつかまた、あっけなく解決しちゃう日が来るかもしれません。

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